川崎市登戸でカリタス小学校の生徒やその保護者など計19人が刃物で刺され、うち2人が死亡した令和始まって以来の最低最悪の事件から4日。犯人の岩崎隆一容疑者(51)は犯行後に自殺しているため、動機の解明は困難となっている。
さて、川崎殺傷事件について、皆はどのくらい把握しているだろうか。世界規模の大事件となり、専用のWikipediaも作られているが、現段階では情報が薄い。そこで当サイトは、この事件を全力で追いかけ、これまで分かっている事実をまとめてみた。
ニュースを見ておらず、川崎殺傷事件を全然知らない人はもちろん、断片しか把握していない人にも分かりやすく伝えたい。
川崎殺傷事件とは
事件当日(5月28日)の時系列
午前7時ごろ | 近隣住民が岩崎容疑者が自宅を出る所を目撃 全身黒ずくめで黒のリュックを背負い、駅の方向に走りながら何食わぬ顔で「おはようございます」と挨拶する |
午前7時35分ごろ | 岩崎隆一容疑者が登戸駅に到着 ⇒駅の防犯カメラに姿 線路沿いの道路を通って現場のコンビニへ |
午前7時40分ごろ | 岩崎隆一容疑者がコンビニ近くに到着 ⇒コンビニの敷地内にリュックを置いて、中から包丁2本を取り出し、両手に手袋をはめる ↓ 児童の列の後方にいた小山智史さんを刺す ↓ 約5メートル先にいた45歳の女性を刺す ↓ スクールバスを待っていたカリタス小学校の児童の列を襲撃 ↓ バスの運転手から「何やってんだ」と怒鳴られ、市営バス停まで走る ↓ 岩崎隆一容疑者は市営バス停前で自らの首を切って自殺 |
・小山さんを刺してから自殺するまで十数秒
・小山さんと女性は子供の見送りのため近くにいた
▼岩崎容疑者の自宅から犯行現場までの所要時間
事件現場
小山さんと女性が刺された場所
児童が襲撃されたスクールバス停
岩崎隆一容疑者が自殺した市営バス停
スクールバスの運転手の動き
事件後、凶器を植え込みに投げた?
「カリタス小のスクールバス運転手と思われる男性がバスの左後輪にあった長細い刃物を、バス停前のマンションの植え込みにポンと投げ込んでいた」(会社員男性)
ハンマーを持って岩崎容疑者を追いかけたか
スクールバスの運転手は、「ハンマーを手に岩崎容疑者を追いかけた」という趣旨の説明を警察にしていることが新たにわかった。
岩崎隆一の”装備”
凶器は?
・柳刃包丁(刃渡り30センチ)2本
⇒いずれも新しく、犯行のため事前に購入か
・文化包丁(刃渡り25センチ)、刺し身包丁(刃渡り20センチ)
⇒いずれもワイシャツに包まれてリュックの中に入っていた
・手袋は包丁が滑らないよう使った可能性も
・柳刃包丁2本は2月に町田市の東急ハンズで計3万円で購入か
⇒少なくとも3か月前には事件を計画?
所持品は?
・ズボンのポケットに現金約10万円
⇒財布は所持していなかった
・保険証
⇒10年以上通院歴なし
カリタス小学校の児童の列はどうなっていた?
・カリタス小学校のスクールバス(約60人乗り)を待っていた児童は2列で”くの字”で並んでいたとみられる
⇒全員乗ったとしたら、残るは10人いなかったとみられる
・5番目のバスが発車した直後に6番目のバスが到着 ※午前7時20分から8時10分まで3台のバスがバス停と学校を3~4分間隔でピストン運行している
⇒倭文教頭が児童を6人ほど乗せた時に悲鳴が聞こえる
・列の後方の児童らの方が被害が大きかった
カリタス小学校・倭文覚教頭によると
「私の位置からだとその様子が見えないので状況がよく分かるように一度、車道のほうに私は出て、列の後方のほうに移動しました
そのとき、私の目の前に犯人が両手に長い包丁らしきものを持ち、無言で児童に刃物を振りながらスクールバスの乗り場のほうに走っていく姿を確認し、私がすぐその犯人のあとを追いかけていくように移動したときに、そこから先の児童には被害を加えずに走っていくところを、今度は本校のスクールバスの運転手がバスから降りてきて犯人のあとを追いました
私はその姿を見届けて、犯人よりも子どもたちのほうにと思って携帯電話で110番をしながら、子どもたちの傷の様子、被害の状況を確認しながら列の後方に向かっていきました」カリタス学園の会見より
岩崎容疑者の身元確認が遅れたワケ
捜査関係者によると
岩崎容疑者が所持していた保険証で自宅を特定
↓
同居する伯父夫婦に顔写真を提示し身元確認
↓
伯父夫婦「知らないです」
⇒白髪交じりの長髪から丸坊主になり、岩崎本人かどうか自身が持てなかったため
↓
自宅に残っていた岩崎容疑者の指紋照合やDNA鑑定も実施
⇒身元特定の発表は事件から12時間後
死傷者の内訳
死亡:小学6年の栗林華子さん(11)、東京・世田谷区の外務省職員・小山智史さん(39)
重傷:45歳の女性、6歳の女児2人
軽傷:6~12歳の女児13人、男児
警察によると
・栗林さんは首の傷が致命傷になった
・死因は失血死
捜査関係者によると
・小山さんは胸、背中、首に4か所の刺し傷
⇒最初に背中を2回刺され、振り向いた際などに胸や首を刺されたとみられる・胸の傷は心臓まで達していた
・死因は出血性ショックだった
聖マリアンナ医科大学病院によると
・45歳の女性と女児3人が首や胸などを刺されて重軽傷
⇒4人は治療中だが、いずれも会話は可能※5月28日の時点
川崎市立多摩病院によると
・女児5人のうち、1人が刃物で肩などを切られ、手術を受けて入院
・軽傷で治療を受けた4人はPTSDの可能性も考えられるため、医師の指示により精神科を受診した上で帰宅した
※5月28日の時点
新百合ケ丘総合病院によると
・児童たちの傷は頸部(けいぶ)や顔面など上半身中心で、話しが出来るまで回復
・5人のうち、7歳の女児が出血性ショックで重傷だが、容体は少しずつ回復に向かっている
※5月29日の時点
日本医科大学武蔵小杉病院によると
6歳の女児2人が治療を受けているが、命に別状なし
※5月28日の時点
・男児のけがの詳細は不明
・6月1日以降、20人と報道しているメディアもあるが、最後の1人については男女や子供なのか大人なのかも不明
岩崎容疑者の自宅から押収したもの
部屋にあったもの
・包丁の空き箱4箱
・ノート
・書籍(週刊誌がメインで思想系なし)
・キャッシュカード
・海外の殺人事件(1981年にパリで起きた猟奇的殺人事件など)の事例を集めた雑誌2冊
⇒10年以上前のものとみられる
・テレビ・ゲーム機
見つからなかったもの
・遺書や犯行を計画・予告するようなメモ
・パソコン・スマホなどの電子通信機器
⇒ネット環境もなし
・飲食店のポイントカード・レンタルビデオ店の会員証
・睡眠薬・精神安定剤などの薬物
・部屋は整理されていた
・押収物は段ボール1箱分
4日前に現場周辺を下見か
捜査関係者によると、防犯カメラの解析で、事件発生と同じ時間帯の先月24日朝、現場最寄り駅の小田急線登戸駅で、電車を降りる岩崎容疑者とみられる男を確認。男は、同市麻生区の岩崎容疑者の自宅最寄り駅の読売ランド前駅から乗車したことも確認された。
カリタス小は翌25日の土曜日が運動会で、事件前日の27日の月曜日は振り替えの休校日だった。このため岩崎容疑者が下見をしたとみられる24日の金曜日が事件前の最後の通常登校日だったという。