先週月曜、日本航空(JAL)の国際線旅客便に乗務中の女性客室乗務員(CA)からアルコールが検出された問題で、JALは昨日、社内調査の結果を発表した。その内容とは?
JAL調査結果の内容
◆概要
当該客室乗務員は、出発前のアルコール検査においてアルコール値は0.00mg/ℓ(基準値 0.10mg/ℓ)でしたが、離陸後、最初の食事サービス終了後に、近くにいた他の客室乗務員より当該客室乗務員からアルコール臭がするとの報告が先任客室乗務員に対してありました。
先任客室乗務員がアルコール感知器を用いて当該客室乗務員のアルコール検査を実施したところ(離陸後約3時間半後の時点)、呼気中から0.15 mg/ℓのアルコール値が検知されました。その後、約30分程度の時間をおいて再検査を実施しましたが、再び基準値を超える0.10mg/ℓのアルコール値が検知されました。
1回目の検査においてアルコール値が検知されてから到着するまでの間、当該客室乗務員には一切の業務に従事させず、ダニエル・K・イノウエ国際空港(ホノルル)到着後に、あらためて別のアルコール感知器を用いて検査を行ったところ、アルコール値は0.00mg/ℓでした。
当該客室乗務員からは、飲酒は一切していないとの報告を受けていますが、社内調査を実施した結果、以下の事実を総合的に判断し、機内において飲酒があったものと判断しました。
◆判断根拠
複数回のアルコール検査の結果、当該乗務員の呼気からアルコールが検知されたこと。
計3名の乗務員が、当該乗務員からアルコールの臭いがした、と証言していること。また、計4名の乗務員が、当該乗務員の様子が通常ではないように感じたと証言していること。
当該乗務員は、2017年11月にも乗務中の飲酒の疑いを指摘されていたこと。
実証実験の結果、マウスウォッシュや摂取した食事が、アルコール検査の結果に影響を及ぼした可能性が認められなかったこと。
プレミアムエコノミークラス用のシャンパン(6oz:約170ml)がサービスに使用していないにも関わらず搭載時より1本少なくなっていた。また、MIDギャレー(調理室)のごみ箱から空きビンが見つかっていること。
飲酒した客室乗務員について
名前 | 不明 |
年齢 | 46歳 |
業務歴 | 23年8ヵ月(1995年4月入社) |
・成田発ホノルル行きの便で、ビジネスクラスを担当
・12月14日以降は一切飲酒をしていないと主張
・問題当日、頻繁にトイレに出入りしていた
⇒トイレ内で飲酒か
当該CAの処分
「手続きに則り厳正に実施いたします」(JAL)
⇒JAL赤坂祐二社長も月額報酬の20%を1カ月分自主返納、安部映里客室本部長も月額報酬の10%を1カ月分自主返納の処分へ
先月には、副操縦士が過度な飲酒で逮捕→懲戒解雇に
◆時系列
10月28日 | ロンドン・ヒースロー空港で飲酒による英国法違反で副操縦士の実川克敏被告(42)が現地警察に逮捕 乗務直前に基準値の9倍を超えるアルコールが検出 |
11月29日 | 英アイルワース刑事法院は実川被告に対し、禁錮10カ月の判決を言い渡した |
11月30日 | JALは実川被告を懲戒解雇処分にすると発表 |
国交省、JALに事業改善命令を出す
◆国土交通省航空局の指摘
・乗務前に行われたアルコール検査では、機長及び副機長は運航規程に基づく相互確認を適切に実施しなかった
・副操縦士拘束後、運航規程上認められていなかったにもかかわらず、三名乗務編成から二名乗務編成に変更の上、JAL44便を定刻より1時間9分遅れで出発させた
・JALへの立入検査の結果、新型アルコール感知器が導入された後の運航乗務員のアルコール検査データにおいて、出頭時のアルコール検査の記録が欠損するなど確認できない事例が多数確認された
◆国土交通省航空局による対応
①会社に対する措置
航空法第112条に基づく事業改善命令を行い、飲酒対策の抜本的な再構築及び乗務編成の変更禁止を命令し、平成31年1月18日までに必要な再発防止策について報告させる
②運航乗務員に対する措置
機長:文書警告(行政指導)
副機:文書警告(行政指導)