Switch2パッケージソフトの一部は「キーカード」という新しいシステムを導入している。要は「パッケージソフトのダウンロードソフト化」なのだが、任天堂の新しい試みに批判が寄せられる一方、パッケージ版が長年苦しめられてきた“ある要素”の完全対策になるとも。
キーカードとは
キーカードとは、ソフトを起動するためのキーのみが保存されたゲームカード。初めてゲームをプレイする際に、ネットを通じてソフト本編のデータをダウンロードすることで遊ぶことができる。
察しがいい人はすでにお気づきだろうが、要は「ダウンロードソフト」とほぼ同じ仕組みなのだ。Switch1でも導入される「バーチャルゲームカード」は「ダウンロードソフトのパッケージソフト化」だったが、これはその逆である。
パッケージ下部に、以下の記載があればキーカードだ。
先日から、Switch2で発売予定のソフトの情報がメーカーの公式サイトやネットショップなどで公開されている。確認した限り、任天堂ソフトやSwitch2エディション、『サイバーパンク2077 アルティメットエディション』をのぞく他社ソフトはキーカードになっていた。
例として挙げたシャインポストの場合、キーカードに落とし込むデータの容量は8GB以上と表記されている。一方、ダウンロードソフトの必要容量は7.4GBとなっていた。
キーカードよりダウンロードソフトの方が容量が少ないが、任天堂の公式サイトには
本タイトルでは、下記の「必要な容量」に関わらず、最大8GBのダウンロードが必要となる場合がございます
とあり、ダウンロード版でも8GBは必要になりそうだ。
「パッケージソフトのダウンロードソフト化」ということで「ダウンロード版と変わらない」との批判が寄せられているが、悪い事ばかりでもない。
フラゲ対策になる
これまでのパッケージ版であれば、ソフトの発売前に主に海外でフラゲされ、その情報がネットにリークされたり、配信サイトで配信され、発売前に全ての情報が明るみになることも珍しくない(後者は大体BANされるが)。
一方、キーカードであれば、ダウンロード版同様、初めてゲームをプレイする際に、ネットを通じてソフト本編のデータをダウンロードする必要があり、データも発売日の0時にならないと配信されないはずなので、フラゲできない。
例えば、ポケモンなんて海外でフラゲされまくっており、発売前に新ポケモンが全て判明したりするので、キーカードの対策は大きいはずだ。
フラゲ対策のみならず、これまでのパッケージ版同様「ソフトは手元に残るのでコレクションできる」「飽きたらゲオとかで売ればいい」といったメリットは健在だ。あくまでソフトを遊ぶには、ネットからデータをダウンロードし、ダウンロード版相当の容量が必要になるということだけだ。
いずれはパッケージ版廃止になるか
今は他社ソフトだけだが、今後任天堂ソフトもキーカードになる可能性はある。パッケージソフトのダウンロードソフト化を進め、最終的にはパッケージソフトを廃止してダウンロードソフト一体化にする布石ではないか。
海外シェア圧倒的トップのPC・Steamはダウンロード版しかない。
PCの2大OSの1つであるWindowsを開発するMicrosoftが作っているXboxも、パッケージソフトは日本で全く見かけない。ネットショップシェア圧倒的トップのAmazonでもパッケージソフトは全く売っていない。
例えば、モンハンワイルズのXbox Series X|S版は日本だとダウンロード版しか売っていない。
サイトの国を海外(下記サイトはアメリカ)に変更するとあったが、購入するには海外から輸入する必要がある。
そのため、実質ダウンロード版しかないと思った方がいい。ちなみに、Xbox Series X|Sを購入する場合、ディスクレスのSかXのディスクレス版がおすすめだ。
▼XはPS5よりスペックが高く、値段もPS5のディスクレス版より安くなっている
SteamとXboxのダウンロード一体化の波に、Switchも乗ろうとしているのかもしれない。
メーカーとしても、パッケージソフトを廃止してダウンロードソフト一体化にした方が売り上げアップにつながる。パッケージソフトには中古があり、“あとから購入勢”の多くが中古を買ってしまえば、メーカーの売り上げにも利益にもならない。
一方、ダウンロードソフトはセールで安く売ればみんな買うし、売り上げにも計上できる。各メーカーの決算を見ると、近年は新作よりも旧作の方が圧倒的に売れている。旧作が売れるのはセールのおかげである。
▼現に、セール大好きのカプコンは旧作の売り上げが93%を占めている
2025年3月期 第3四半期決算資料より