ポケモンSVのランクマでも、対策必須なポケモンや並びは存在する。今回はシングルとダブルについて触れていきたい。
【シングル】型の多さで対策困難なカイリュー
タイプ:ドラゴン・ひこう
種族値:HP91-攻撃134-防御-特攻100-特防100-素早さ80(合計600)
特性:マルチスケイル(自分の残りHPが最大値の時、受けるダメージが半減される)※特性はほかにせいしんりょくがあるが、シングルでは使われていないため割愛
BWでマルチスケイルを与えられてから、シングルの対戦環境で常に使用率上位のカイリューだが、SVのテラスタルにより、こおり4倍を消すことに成功。マルチスケイルが生きている場合、全てのタイプを等倍以下に抑えることが可能となった。
SVの新規取得技で需要が高いのはけたぐり、アンコール、アイススピナー、テラバースト。
型は従来のりゅうまい型とハチマキ型に加え、新たに渦アンコ型が登場。一方、剣盾の教え技だったスケイルショットとダブルウイングを覚えなくなった。
りゅうまい型にはアンコールが入り、相手の変化技だったり、攻撃技をテラスタルで半減しながらりゅうまいし、次のターンに上からアンコールで固定することで、りゅうまいの起点にできる。
これまでのりゅうまい型はいじっぱりかようきでの採用だったが、シングルの対戦動画を見ていると、りゅうまい型にゴツゴツメットが採用されていることもあり、耐久振りもあるようだ。
ハチマキ型はノーマルテラスでしんそくの火力を高めたり、ひこうテラスでテラバーストを打つことが多いようだ。
渦アンコ型は、ほのおのうずで交代を封じ、アンコールで技を固定。ダメージを受けたらはねやすめで回復し、ほのおのうずの定数ダメージを稼ぐという害悪型だ。渦アンコカイリューの台頭で、ほかのポケモンにほのおのうずを採用するケースも出てきている。
これまでのカイリューはアタッカーだったが、SVでは耐久振りや害悪型まで出てきた。
シングルはダブル以上にテラスタルが豊富であり、型もアタッカーから害悪型まであって型も豊富となっている。型の多さゆえに対策が難しく、むしろシングル勢から嫌われ、昨日のツイッターサジェストには「カイリュー 死ね」が浮上していた。
ただ、型が分かってしまえば1つ1つの型は対策できる。早期に型を把握し、対処すれば勝てない相手でもない。
【ダブル】対策が少なくしないと確実に詰むヘイラッシャ&シャリタツ・イッカネズミ&コノヨザル
シングルのカイリューは型が多いものの、1つ1つの対策はそれなりにあった。ダブルでもカイリューは最新の使用率から、600族でもっとも使われているが、りゅうまい型や渦アンコ型はおらず、その多くがハチマキ型だ。
テラスタルもノーマルかひこうがほとんど。環境初期はねこだましによるひるみやいかくによる攻撃ダウンを防止する「せいしんりょく」での運用が多かったが、ねこだましやいかくが少ないため、最近はダブルでもマルチスケイルがほとんどだ。
シングルは1対1であり、連続攻撃技を除き最初の一撃はマルチスケイルで半減できるが、ダブルは2対2であり、集中砲火されればマルチスケイルは1ターンで突破されるため、シングルほど強くはない。
ほかのポケモンも、“単体としては”対策困難なものはいないが、ヘイラッシャ&シャリタツ、イッカネズミ&コノヨザルといった並びの対策が難しい。
ヘイラッシャ&シャリタツは2体が場にそろうことでシャリタツのしれいとうが発動。シャリタツはヘイラッシャの口に入り、ヘイラッシャの攻撃・防御・特攻・特防・素早さが2段階上がる。
ヘイラッシャの種族値は
HP150-攻撃100-防御115-特攻65-特防65-素早さ35(合計530)
と高く、HP以外のステータスが2段階アップ、すなわち2倍となるわけで弱いはずもない。
高まった攻撃に加え、威力120のタイプ一致技であるウェーブタックルを覚え、等倍以上ならワンパンはほぼ避けられない。
また、専用技の「いっちょうあがり」は口の中にいるシャリタツの姿によって攻撃後に能力が上がり、赤色のシャリタツなら攻撃、オレンジ色のシャリタツなら防御、黄色のシャリタツなら素早さが上がる。
赤色ならさらに火力が上がり、いかくで攻撃を下げられてもそれを攻撃しながら取り戻すことができる。黄色で素早さが上がれば、最速しれいとうでも抜けなかったマスカーニャをも抜くことができる。環境では、この2つがよく使われている。
元々高い耐久が2段階アップでさらに高まり、しれいとう後はヘイラッシャしか行動できなくなるが、集中砲火されても余裕で耐え、ヘイラッシャ側は超火力でワンパンしてくる。1体しか行動できない欠点を補うため、ダブルでは自分以外を攻撃するじしんを覚えさせることもある。
タイプもみず単タイプで弱点が少なく、確定急所で防御ランクを無視できるマスカーニャのトリックフラワーも、テラスタルで半減タイプにすれば対処できる。
やることは単純だが、対策が非常に少ないのがこの並びの強さを物語っている。もっとも安全な対策は、いたずらごころヤミカラスでくろいきりするくらいだろう。
モロバレルでクリアスモッグすることが対策として挙げられているが、ヘイラッシャにはみがわりがあることが多く、クリアスモッグは本体に当てないとリセットできない。トリックフラワーの半減も兼ねてはがねテラスだった場合、そもそもクリアスモッグが無効化される。
ヘイラッシャの能力ランクをものまねハーブやじこあんじでコピーして互角に持っていきたいが、ダブルでもヘイラッシャはてんねんが主流となっており、能力をコピーしたところでそれが反映されることはない。
そもそも、ものまねハーブは上がった時に場にいないと発動しないため、上手く合わせる必要がある。最近、この並びは後続で出てくることが多く、ますますものまねハーブ発動は困難だ。
こちらも、てんねんヘイラッシャを使って相手の能力ランクを無効化したいが、“てんねんで無効化できる能力ランクはてんねん持ちへの攻撃のみ”となり、味方への攻撃は能力ランクが無効化されない。
ヘイラッシャ側はヘイラッシャに打点がなく、あくびもみがわりで防がれるだろう。
当然、相手のヘイラッシャも打点はないはずだが、それなら味方が狙われるわけで、最終的に相手のヘイラッシャを突破できたとしても、それまでに自分のヘイラッシャ以外を倒されたら、1匹で相手の残り手持ちを倒す必要がある。
しかし、ダブルで1対複数の状況を作られればほぼ勝てないのが現実だ。よって、こちらも有効な対策とは言い難い。
最近のヘイラッシャ&シャリタツはヘイラッシャのみ先発で出し、裏からシャリタツを出してコンボ発動を狙うか、どっちも後続というケースがほとんどだ。そのため、後続から対策できるかが重要となる。
イッカネズミ&コノヨザルは、イッカネズミがコノヨザルにふくろだたきし、コノヨザルのふんどのこぶしの威力を上げるという並び。
ふくろだたきは瀕死になっていない手持ちの数だけ攻撃し、4匹とも生きていれば4回ヒットする。ふんどのこぶしは攻撃を受けるごとに威力が50上がり、1ターンで威力250まで跳ね上がる。
タイプ一致で威力375となり、等倍以上ならワンパンは避けられない。
ふんどのこぶしは味方の攻撃でも威力が上がり、イッカネズミのフレンドガードは自分の攻撃を味方に打った時も適用され、ふくろだたきは蚊に刺されたようなダメージにしかならない。
これまでの叩きコンボは、せいぎのこころで攻撃ランクを上げていたため、イカサマで返り討ちにすることもできたが、ふんどのこぶしは技の威力が上がるだけでイカサマの火力は上がらず、能力ランクは交代するとリセットされるが、ふんどのこぶしは交代しても威力はそのままだ。
このコンボを封じるため、このゆびとまれやいかりのこなでふくろだたきを吸収する対策が挙げられるが、イッカネズミのちょうはつでこれらを封じられ、その間コノヨザルはビルドアップで攻撃と防御をアップ。
次のターン、叩きコンボを決められ、ビルドアップでさらに火力が上がったふんどのこぶしを決められるリスクもある。
いかりのこなに関しては、イッカネズミがぼうじんゴーグルを持たせている場合、ふくろだたきを吸収することはできない。
ふんどのこぶしの威力は相手の攻撃でも上がり、叩きコンボ頼りではないのも。フレンドガードでコノヨザルへのダメージが減った結果、多くの攻撃を受けられ、その分ふんどのこぶしの威力は上がっていく。
攻撃を1回でも受ければ威力100となり、2回で150に。150もあれば、十分すぎる火力となる。
コノヨザルの種族値は
HP110-攻撃115-防御80-特攻50-特防90-素早さ90(合計535)
と、ヘイラッシャ同様、攻守とも無駄のない高いステータスを持っている。
また、かくとう・ゴーストの複合タイプは非常に強く、両方を半減できるポケモンはパルデアに存在しない。そのうえで、ふんどのこぶしのぶっ壊れっぷりだ。
コノヨザルは叩きコンボ以外にも、こだわりスカーフを持たせ、あくテラスしたグレンアルマに確実に先制とんぼがえりしてくだけるよろいとじゃくてんほけんを発動させ、コンボ終了後はいのちがけで相手1匹を道連れにする動きもできる。
コノヨザルの最大HPは217となり、多くのポケモンを道連れにできる。
イッカネズミも、テクニシャンでネズミざんを打った場合、HP振りマルチカイリューすら1ターンで葬る火力を持っている。
シングルのカイリューは型が多いものの、1つ1つの型の対策はそれなりにあるのに対し、ヘイラッシャ&シャリタツやイッカネズミ&コノヨザルといった並びは何をするかわかっているが、その対策が少ないことが悩みどころだ。
特にヘイラッシャとコノヨザルは単体でも強すぎるくらいなのに、コンボによって対策困難なぶっ壊れっとなっている。これら並びに関しては明らかに調整ミスだと思う。