東京・渋谷区の路上でトルコ出身のクルド人男性が警官2人に押さえ込まれるなどの暴行を受け、首に全治1ヶ月のけがをした。これを受け、5月30日に警察への抗議デモがあり、その様子を撮影した動画でツイッターで拡散している。
クルド人男性は「交通違反も何もしていないのに、外国人というだけでひどいことをされた。話も聞かずに乱暴することが許されていいのでしょうか」と被害を訴えた。
また、フリージャーナリストの樫田秀樹氏はクルド人男性から送られてきた動画や証言をツイート。警官が暴行に至った経緯を語った。
クルド人、警官に押さえ込まれ全治1ヶ月のけが 渋谷署前で抗議デモ「外国人を差別するな」
東京都渋谷区の路上で警察官2人に押さえ込まれるなどして首に全治1カ月のけがをした外国人男性(33)を巡り、30日、市民らによる警察への抗議デモがあった。一緒にいた友人が撮影した動画がインターネットを通じて拡散したことで約200人が集まり、警視庁渋谷署前などで「外国人を差別するな」などと声を上げた。
けがをしたのはトルコ出身のクルド人男性。15年前に来日し、定住者ビザを得て、飲食店で働いている。男性は27日、氏名不詳の警官2人を特別公務員暴行陵虐致傷罪で東京地検に刑事告訴した。男性は毎日新聞の取材に「交通違反も何もしていないのに、外国人というだけでひどいことをされた。外国人だから、話も聞かずに乱暴することが許されていいのでしょうか」と話している。
告訴状などによると、5月22日午後3時半ごろ、男性が乗用車を運転してJR恵比寿駅前で停車していたパトカーの脇を通り過ぎ、明治通りで左折したところ、サイレンを鳴らして追尾してきたパトカーに停止を命じられた。男性は警官から「車の内部を調べたい」と求められたが、治療を受けている歯科に向かう途中だったため拒否。その後、警官2人が車を降りた男性の両腕をつかみ、首を押さえつけて、地面に引き倒すなどし、首や脚、脇腹にけがをしたという。
車に同乗していた男性の友人が撮影した動画には、「何もしてない」「さわらないで」「話を聞いて」と訴える男性に、警官が「なめんなよ」と声を上げ、地面に座らせ、首に腕をかける様子が収められていた。
男性によると、現場には約30人の警官が駆けつけ、男性の承諾のないまま、車のトランクにあった段ボールが破かれたり、バッグの中身を調べられたりしたが、そのまま現場で解放されたという。
男性は「私は逃げても暴れてもいませんでした。首を絞められて『息ができない』と言ったのに、友人が撮影していることに気づくまで緩めてもらえませんでした」と説明している。
今回のデモを呼びかけた男性(28)は「何もしていない人に暴力を振るっており、明らかに不当だ。警察の外国人差別は許せない」と話している。
【動画】「警官に押さえ込まれけが」 渋谷署前で200人が抗議デモ クルド人訴えに共鳴 https://t.co/FgRjAkUBgd pic.twitter.com/HeKuMFu9qx
— 毎日新聞 (@mainichi) May 30, 2020
差別警察に抗議する渋谷デモ#0530渋谷署前抗議 pic.twitter.com/yfe9SPRBtG
— 猫重力 (@catsgravity137) May 30, 2020
いまの渋谷署前。
クルド人が警察官に不当な暴行をされたことに対する抗議です。 pic.twitter.com/QcxeNo4Rms— 篠田ミル / MIRU SHINODA (@shinoda_man) May 30, 2020
渋谷警察署前、大混乱
#0530渋谷署前抗議 pic.twitter.com/gWZpzltRPI— Y.ARAKI (@ark_yz) May 30, 2020
暴行に至る経緯
先ほど送られてきた映像。昨日13時頃、都内でクルド人男性が警察の威圧行為を受けた。本人証言は次https://t.co/yZK5RB0okT
— 樫田秀樹 (@kashidahideki) May 23, 2020
ところがその後も警察車両は後をつけてくる。そこで再び車を停め、警察に「何ですか。歯医者に行くだけですよ」と説明。近寄ってきた警官がマスクしていなかったため「近くに来ないでください」と言ったら、警官が「俺に勝つつもりか」と、そこから映像通りの行為が始まった。続
— 樫田秀樹 (@kashidahideki) May 23, 2020
その間、同乗の友人2人は車外に出してもらえず、この行為を撮影したら、警官がやってきて(映像最後)何本か撮影した映像を消された。威圧行為は15分くらい続き、男性は首を掴まれたり、足を蹴られるなどの行為を受けた。その後病院で「捻挫」などの診断書ももらったとのこと。続
— 樫田秀樹 (@kashidahideki) May 23, 2020
5月23日に投稿したクルド人への警察の威圧行動映像。理由不明で威圧され怪我したことで、本人は本日警察を提訴したようだ。事件当時、物々しい現場を周辺で撮影した人もいて、クルド人男性は頼んでその映像を入手。クルド人男性は何度も「なんにもしていないのに!」と訴えている。 pic.twitter.com/QRSoyNj1Na
— 樫田秀樹 (@kashidahideki) May 27, 2020
これが事実だとしたら、警官は理由もなく後をつけ、マスクを着けていないことを指摘されたことに逆ギレして暴行したということになる。
実際、数十分後に解放されるので、本当に何もしていなかったのだ。目が合った警官に「ご苦労様です」と挨拶しただけ。この件で、市民団体が5月30日(土)15時に渋谷駅ハチ公前集合で渋谷警察署への抗議デモをするそうだ。横断幕、プラカ歓迎とのこと。被害に遭った本人が来るかもしれない。
— 樫田秀樹 (@kashidahideki) May 27, 2020
▼上記動画を翻訳したもの
クルド人訴え 今疑問に思っている方
👮♂️警察の会話を文字付けてみました
一目瞭然ですよ pic.twitter.com/VcF9ZyC1md— Ninja (@Nlnjq_) May 30, 2020
ネットでは「職質に従わず、怪しい動きしたからだろ?」「警察が何もないのに拘束しますかね?」といった声も。また、駐禁の職質から逃げたので拘束されたという憶測もみられたが、男性はすぐに解放されており、事実ではないだろう。
なお、「外国人を差別するな」に関しては「別にクルド人だから扱いが悪いわけじゃないでしょ」と日本人でも同じ扱いだという声が寄せられている。
いずれにせよ、手を出した時点で警官の負けだ。クルド人男性は、当該警官2人を特別公務員暴行陵虐致傷罪で刑事告訴。真相は法廷で明らかになるだろう。