「ジョンソン首相の怒り=輸入検査キット、中共ウイルスが付着 故意か」と題した記事がツイッターで拡散されている。
記事は「CDmedia」という海外メディアの報道を引用したもので、イギリスのジョンソン首相が今後、ファーウェイとの5G通信に関する契約を取り消すとともに、強い怒りを感じると関係者に話した。中国から発送された検査キットに新型コロナウイルスが付着されていることが原因であると伝えた。
しかし、この報道は有志による検証でデマだと証明され、元記事もファクトチェックですでにフェイク判定されている。
「ジョンソン首相の怒り=輸入検査キット、中共ウイルスが付着 故意か」と題した記事拡散
英メディア『CD Media』の報道によると、英首相ジョンソン氏は今後、中国企業ファウェイとの5G通信に関する契約を取り消すとともに、強い怒りを感じると関係者の二人が述べたという。その原因は、中国より発送された検査キットはすでに中共ウイルス(新型コロナウイルス)に汚染されていることにあるという。
ユーロフィン(Eurofins)社がルクセンブルクで組み立てた同ロットの検査キットは、鼻と口より検査体を採取する細綿棒にウイルスが付着していることが判明。これにより、被検者は直接感染させられる可能性がある。この件について、ユーロフィン社は、検査キットのパーツは「他国より提供されている」と述べた。
海外在住の中国人評論家王篤然氏は、中国より輸入された検査キットは中共ウイルスを携帯するので非常に恐ろしいとコメントした。ウイルスを感染していない人も、検査後感染する恐れがある。故意にせよ、不意にせよ、被検者の命が奪われる恐れがあるともコメントした。
中国共産党に対し怒りを感じるのは、ジョンソン首相だけでなく、イギリスの民衆も世論調査で同じ怒りを表した。
看中国より
この報道の元となった記事
これらの報道はデマ!有志が解説
世界中にフェイクを流したワシントン・タイムズ紙のコラムニストでもあるL・トッド・ウッド氏が主催。この時点で怪しげ。
その記事ではたしかに「英国向けのテストキットは、コロナに汚染」と記述。根拠となっているのは、Republic worldというインド・メディアの下記記事。https://t.co/Zgn2yCOYoa
— イシケンTV – ニュース解説 / 石田健 (@ishiken_bot) April 16, 2020
そして、このCDMediaでは書かれていないウソを重ねている日本語のまとめサイトが一番悪質。
「中共ウイルス」という単語を使っていることも悪質だし、CDMediaでは「検査キットはすでに汚染されている」や「被検者は直接感染させられる」とは書いてない。
— イシケンTV – ニュース解説 / 石田健 (@ishiken_bot) April 16, 2020
また、看中国はジョンソン首相が中国から発送された検索キットに新型コロナが付着していることに怒ったと伝えたが、元記事にはジョンソン首相は中国が新型コロナの感染拡大に関する報告を遅らせ、新型コロナに感染して死亡した中国人の数を偽って伝えたことに対し怒っていると書かれている。
CDmediaの報道に関してはすでにファクトチェックでフェイク判定が出ている
「ジョンソン首相の怒り」と題した、華僑系メディア『看中国』による日本語記事が拡散していますが、それが(リンクなしで)引用している英CD Mediaの4月1日付の記事は、国際ファクトチェックネットワーク(@ICFN)加盟機関@AfricaCheckによって「誤り」(false)判定が出ています。https://t.co/ICw1B81l8E
— 小宮貫太郎 (@KantaroKomiyaJP) April 15, 2020
「Eurofins社のキットに含まれていた『他国から提供された部品』が具体的に中国製だったという事実はなく、Eurofin社が中国を名指ししたこともなく、さらにこれらのキットはイギリスで使用されておらず、そもそも輸出されてもいない」とのことです。
よって『看中国』の引用記事は誤りということです
— 小宮貫太郎 (@KantaroKomiyaJP) April 15, 2020
今回の騒動はウソにウソを重ねられ、それが拡散されたことで起きた。看中国以外は全て海外メディアの報道で英語なので、看中国が事実を捻じ曲げてもそれをデマだと気づけなかった人がほとんどだったと思われる。