マレーシアのツイッターユーザー・haniwaさんによる二次創作キャラクター「クッパ姫」が盛り上がっている中、任天堂が公道カートレンタル事業「株式会社マリカー」へ不正競争行為と著作権侵害を行ったとして東京地裁で訴訟を起こしていた件について、勝訴したことを発表した。
任天堂のコメント
[任天堂HP] ニュースリリース「公道カートのレンタルサービスに伴う当社知的財産の利用行為に関する東京地裁判決について」を掲載しました。 https://t.co/r1nnV11XlA
— 任天堂株式会社 (@Nintendo) 2018年9月27日
任天堂株式会社(本社:京都市南区、代表取締役社長:古川俊太郎、以下「当社」)は、2017年2月24日付ニュースリリース「公道カートのレンタルサービスに伴う当社知的財産の利用行為に対する訴訟提起について」でお知らせ致しましたとおり、株式会社マリカー(現商号:株式会社MARIモビリティ開発、本店:東京都品川区、以下「被告会社」)およびその代表取締役(以下、併せて「被告ら」)に対して、被告会社による知的財産権の侵害行為の差止等並びに上記行為から生じた損害の賠償を被告らに対して求める訴訟を東京地方裁判所に提起しておりました(平成29年(ワ)第6293号)。
上記訴訟に関しまして、本日、東京地方裁判所において、「マリカー」という標章等が被告会社の需要者との関係で当社の商品等表示として広く知られていることを認めた上で、被告会社に対して、不正競争行為の差止(例えば、被告会社の営業活動においてマリオ等のキャラクターのコスチュームを貸与することが禁止されることが判決文中で、例示されています。)と、損害賠償金の支払い等を命じる判決が下されましたので、お知らせいたします。
当社は、長年の努力により築き上げてきた当社の大切な知的財産を保護するために、”当社のブランドを含む知的財産の侵害行為に対しては今後も継続して必要な措置を講じていく所存”です。
「当社のブランドを含む知的財産の侵害行為に対しては今後も継続して必要な措置を講じていく所存」←クッパ姫に対して言ってるようにしか聴こえない
このコメントに対し、ネットでは「このコメントはクッパ姫に対して言ってるようにしか聴こえない」との声がみられた。
クッパ姫をめぐっては、クッパ姫オンリーイベントが開催決定、クッパ姫のイラストをエサにパトロンサービスに誘導するなど金儲けに走る連中やクッパ姫公式化署名運動を立ち上げる連中も登場し、日に日に過激化している。
J-CASTニュースによると、クッパ姫ブームについて任天堂へコメントを求めたところ、「インターネット上の書き込みなどに関しては、コメントは控えさせていただきます」とのこと。今現在は静観しているわけだが、このまま行けば、任天堂も黙っちゃいないだろう。
クッパ姫ブームの中、任天堂がマリカーへの勝訴を発表したことに対し、ネットでは「次はクッパ姫やな」「クッパ姫で盛り上がってイキってる奴らやる気満々か??」「クッパ姫での営利活動に釘を刺すためか!見せしめなのね」といった声が寄せられた。
▼クッパ姫オンリーイベント「王冠計画」は来月末開催
#クッパ姫 オンリーイベント「王冠計画」開催決定!!! サイトは明日にでも。 pic.twitter.com/i6ypdKcoBX
— すみひい (@sumihii) 2018年9月24日
▼クッパ姫のイラストをエサに「Fantia」に誘導した呉マサヒロ
クッパ姫は著作権侵害になるのか?
クッパ姫の著作権について、齋藤理央弁護士が弁護士ドットコムで解説した。
記事によると
・裁判所はキャラクターをもって著作物ということはできないと判示している。つまりクッパがピーチ姫に変身したという設定があっても、それだけではクッパやピーチ姫の著作権を侵害することにはならない。ただし、キャラクターが描かれたそれぞれのイラストは著作権の対象となる
・クッパ姫が著作権を侵害する可能性はないと思う。見た目の特徴がクッパを描いたとは思えないから。ピーチ姫についても相違する要素が多く、この相違点がクッパ姫のイラスト固有の魅力を生み出している反面、ピーチ姫のイラストの表現上の本質的特徴は消しているようにも思える
・しかしクッパ姫については、金髪碧眼、髪型、ドレスの特徴的なデザインやアクセサリーがピーチ姫と同じというところから、ピーチ姫をモデルにしたモデルにした人物であるともいえ、著作権侵害となる可能性がある
・クッパ姫の二次創作については、クッパ姫のイラストの特徴を引き継いでいるイラストを描いた場合、クッパ姫を描いたものであるとして著作権侵害となる可能性が高い
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180927-00008602-bengocom-life
▼一方、杉浦健二弁護士の見解
クッパにもピーチ姫にも全く似てない新キャラ「クッパ姫」を創作しただけであれば、複製にも翻案にも該当しない。SNSでイラストアップする程度なら問題視されるリスクは低いが、グッズ販売までやるレベルになると不正競争防止法も絡んできてリスク大である。心して楽しんでほしい。
— 杉浦健二@STORIA法律事務所 (@kenjisugiura01) 2018年9月26日
つまり・・・
・クッパ姫がクッパやピーチ姫にも全く似てないのであればセーフ。少しでも似ていればアウト
・クッパ姫の二次創作も、クッパ姫の特徴を引き継いだイラストじゃなければセーフ。そうではないのならアウト
・SNSにイラストを投稿する程度なら問題視されるリスクは低いが、営利目的だと訴訟リスク大
現状、任天堂はSNSにイラストを投稿する程度なら黙認している模様。しかし営利目的となるとマリカーの件もあり、話は別だろう。またこういった連中が増えていくと、クッパ姫自体を潰しに来る可能性もある。
クッパ姫ブームを収束させたくなかったら、非営利で楽しむしかなさそうだ。クッパ姫ブームに便乗してイラストを投稿し、SNSのフォロワーを稼ぐくらいなら許されるのではないか。
【クッパ姫】記事リスト→https://koku-byakunews.com/archives/tag/クッパ姫