ポケモンSV・レギュレーションGから早いものでまもなく2週間を迎える。ある程度環境も固まってきたころだが、結局どの禁伝が強いのか。
ダブル禁伝最新Tier
まずは、5月12日時点のランクマの使用率および海外公式大会の結果をもとに最新Tierを作ったので紹介したい。
SVダブルの禁伝は、剣盾ダブルの禁伝使用率1位だったザシアンや使用率2位のカイオーガのような、バランスブレイカーな禁伝はいないと思っている。その証拠として、2回の海外大会TOP8に飛びぬけて多かった禁伝はおらず、そういったことからランクSはなしとした。
ランクAについて
続いてランクAだが、こちらはザマゼンタ、ミライドン、白バドレックス、テラパゴスがランクインした。
4体のランクマ使用率および最新の海外公式大会の結果を紹介したい。
■ザマゼンタ
ランクマ使用率:35位(禁伝使用率8位)【21時59分更新】
5月11日-12日大会の禁伝使用率:
DAY1-5/10(位)
DAY2-1/9(位)
TOP8-2人(優勝)■ミライドン
ランクマ使用率:14位(禁伝使用率3位)【21時59分更新】
5月11日-12日大会の禁伝使用率:
DAY1-3/10(位)
DAY2-4/9(位)
TOP8-2人(最高ベスト4)■白バドレックス
ランクマ使用率:10位(禁伝使用率1位)【21時59分更新】
5月11日-12日大会の禁伝使用率:
DAY1-1/10(位)
DAY2-2/(位)
TOP8-2人(最高ベスト4)■テラパゴス
ランクマ使用率:19位(禁伝使用率5位)【21時59分更新】
5月11日-12日大会の禁伝使用率:
DAY1-2/10(位)
DAY2-3/9(位)
TOP8-2人(準優勝)
ザマゼンタはランクマ使用率トップ30圏外だが、今大会は2日間とも使用率が高く、DAY2では1位を獲得。優勝したということでランクAにふさわしい強さと言える。
ミライドンはランクマ使用率禁伝トップスリーに入り、大会でも使用率が高く、TOP8に2人いたほか、1人がベスト4となった。5月4日から5日に開催された海外大会でもTOP8に2人おり、1人が優勝した功績も称えてランクAとした。
テラパゴスは今大会で2日間とも使用率トップスリーに入り、TOP8に2人いたほか、1人が準優勝した。前回大会でもTOP8に2人おり、1人が準優勝だった功績も称えたランクAとした。
4体はSVダブル禁伝環境の4強と言っても過言ではない位置にいる。しかし、4体ともメリットとデメリットを兼ね備えており、一強も二強もいない。
■ザマゼンタ
メリット
・使用率上位禁伝のメインウエポンであることが多い全体技を防げるワイドガードを覚える
・特に白バドとテラパゴスにはめっぽう強く、前者はてっぺきを積めばもはや突破されず、後者はボディプレスで弱点をつけ、テラスタル前のノーマル単体技は半減、テラスタル後の全体技はワイドガードで防げる
デメリット:攻撃技はボディプレスとはがね技(きょじゅうだんorヘビーボンバー)くらいで、前者はふくつのたての防御1段階アップだけでは火力不足なうえ、ふくつのたては最初の一回しか発動せず、引っ込めると火力がグッと落ちる
■ミライドン
メリット
・ハドロンエンジンによるエレキフィールド(でんき技1.3倍)とC1.33倍から放たれるでんき技は超強力
→こだわりメガネとでんきテラスを合わせれば、受けられるポケモンはほぼいない
・同じ複合タイプのタケルライコより瞬間火力で勝った結果、でんきとドラゴンを両半減する使用率17位のエルフーン相手でも止まらない
デメリット
・種族値はハドロンエンジン前提の配分であり、ほかのフィールドでエレキフィールドを解除されると途端に弱体化する
・自分より速いポケモンに対し、タケルライコであればじんらいで上から殴れるが、ミライドンは先制技がない
・エレキフィールドにより、タケルライコのでんき技が強化され、不足していた瞬間火力に磨きがかかり、欠点がほぼなくなる
→エレキフィールドによって発動するクォークチャージを持った未来ポケモンのうち、テツノツツミが使用率27位、テツノカイナが28位に浮上するなど、タダ乗りマンが続々と使用率を伸ばす
■白バドレックス
メリット
・威力120の全体技であるブリザードランスが強力
→ダブルでは2体同時にノックアウトすれば、しろのいななきで攻撃が一気に2段階アップ
・対して、きんちょうかんは一見地味な効果だが、使用率1位のガオガエンで一番多かったオボンのみが発動しなくなることで、連撃ウーラオスのすいりゅうれんだを耐えられなくなり、今期ではぼうじんゴーグルが主流になる影響があった
・高種族値かつ遅いトリックルーム要因
デメリット
・エスパーとこおりの複合タイプは弱点6つに対し半減2つと非常に弱く、必然的にテラスタルしないといけない場面が増える
・素早さ50と遅いのに先制技を覚えず、トリックルーム必須だが、ちょうはつやふういんで発動を防がれたり、モロバレルやコータスなどトリル下で白バドより速いポケモンがタダ乗りしてくるなどトリル対策されているので、そう簡単ではない
・メインウエポンは基本的にブリザードランスしかなく、こおり技半減でじめん技の10まんばりきも等倍以下となるみずタイプやこおりタイプに打点がない
→使用率トップ30のテラスタイプのうち、1割を超えたものを合算した結果、もっとも多かったのはみずタイプであり、この点もブリザードランスが刺さりにくい原因となっている
■テラパゴス
メリット
・テラスクラスターはテラスタルフォルムだとノーマルタイプの単体技、ステラフォルムだとステラタイプの全体技となり、状況に応じた使い分けができる。
・テラスタルフォルムのテラスシェルを起点にめいそうを積める
・ステラフォルム時のゼロフォーミングで天気とフィールドをリセットでき、それは任意のタイミングで可能
・ステラタイプは全てのタイプに等倍以上なので明確に不利構築がおらず、特にほぼ絶対選出となる禁伝1匹ルールでは安定した強さを発揮する
デメリット
・テラパゴスはテラスタルしないと弱く、テラスタルもほぼ固定となり、テラスタルの強みである「状況に応じて臨機応変にきる」ということができない
・ステラタイプは防御タイプが変わらず、タイプ相性の変化を気にする必要がないので相手としては楽
・ゼロフォーミングは一度しか発動せず、テラパゴスがテラスタルするタイミングは読みやすいため、たとえばテラスタル読みで天気やフィールドを発生させる特性を持つポケモンを引っ込められたり、ゼロフォーミングでリセットされたターンに天気やフィールドを発生させる技を撃たれやすい
→タイミングを誤ると無駄撃ちになる
ランクBについて
ランクBはカイオーガ、黒バドレックス、コライドンがランクイン。3体のランクマ使用率および最新の海外公式大会の結果を紹介したい。
■カイオーガ
ランクマ使用率:15位(禁伝使用率4位)【21時59分更新】
5月11日-12日大会の禁伝使用率:
DAY1-7/10(位)
DAY2-4/9(位)
TOP8-0人■黒バドレックス
ランクマ使用率:13位(禁伝使用率2位)【21時59分更新】
5月11日-12日大会の禁伝使用率:
DAY1-4/10(位)
DAY2-5/9(位)
TOP8-0人■コライドン
ランクマ使用率:22位(禁伝使用率6位)【21時59分更新】
5月11日-12日大会の禁伝使用率:
DAY1-6/10(位)
DAY2-6/9(位)
TOP8-0人
ちなみに、大会使用率は2日間とも黒バドが12-13%ほどだが、ほか2匹はわずか数パーセント。TOP8入りはなかった。そのため、ランクBとした。
今回は、ランクBが信じられないであろうカイオーガと黒バドのメリットとデメリットを紹介したい。
■カイオーガ
メリット
・みずテラスでみず技の火力をさらに上げたり、くさテラスで弱点のくさタイプやでんきタイプに強くなることができる
→みずテラスでしおふきの威力を上げたとしても、HPが減りすぎると威力は出なくなる
デメリット
・HPが減ったあとはこんげんのはどうに切り替えるが、命中85でしょっちゅう外す
・2つともみず技なのでもっとも多いみずテラスで止まり、雨が解除されると火力が一気に落ちる
→いずれも全体技なのでワイドガードに弱い
・ゴリランダーなどのグラススライダーだけでなく、タケルライコのじんらいで上から弱点をつかれ、しおふきの火力を発揮する前に沈むケースも多い
■黒バドレックス
メリット
・素早さ150がハバタクカミ、ミライドン、パオジアン、コライドンといった激戦区135族を抜いている
・威力120の全体技であるアストラルビットが強力で、ダブルでは2体同時にノックアウトすれば、くろのいななきで特攻が一気に2段階アップする
・きんちょうかんに関しては白バドと同じなので割愛
デメリット
・エスパーとゴーストの複合タイプはゴーストとあくが4倍であり、いずれもあくタイプに半減される無駄が多い組み合わせ
・フェアリーテラスやかくとうテラスであくタイプに対抗できるが、ゆえにテラスタルする機会が増え、フェアリー技のドレインキッスはフェアリーテラスしても威力不足
・そのため、わるだくみを積みたいところだが、1on1のシングルなら起点を作って積む機会も多いが、ダブルではそうもいかない
・メインウエポンはアストラルビットやワイドフォースしかなく、いずれも全体技なのでワイドガードに弱い
カイオーガに関してはこれまでで一番不遇な環境と言える。2匹とも使ったが、カイオーガは3桁ギリギリ、黒バドも全然勝てなかった。SVダブル環境での活躍は厳しそうだ。
繰り返すが、SVダブルの禁伝は群を抜いて強いポケモンがおらず、おそらく結論パは出ないだろう。
今現在の4強または今後さらに変化するかもしれないが、いくつかの勢力に分かれ、最強は誕生しないと思われる。これは禁伝2体でも変わらないだろう。
一強、二強がいた過去作に比べると、SVダブル禁伝環境は面白いのではないか。そもそも、SVは一般枠のほうが壊れており、ランクSにはガオガエン、連撃ウーラオス、ゴリランダー、モロバレル、タケルライコといったポケモンがふさわしいだろう。
下手な禁伝より、こういったポケモンのほうが強いということで、数的にも一般枠を中心とした構築にしたほうがいい説すらある。