今年のポケモンデーでは、順番的にBWリメイクまたはBW関連と今年で金銀25周年ということで金銀関連の新作が出るのではないかと噂されていた。
しかし、実際はポケモンレジェンズZAという、XYを原作としたレジェンズシリーズだった。
BWは飛ばされてしまったが、SNSは特に荒れていない。むしろ、ポケモンのリメイクをBDSPで断ち切ったことを英断とする声も少なくない。
リメイクの実質的な成功はHGSSだけ
ポケモンのリメイクは初代からダイパまでされた。しかし、”ソフトの売り上げと世間の評価を加味した成功”と言えるのは2009年発売の金銀リメイク「HGSS」くらいだろう。
2004年発売の赤緑リメイク「FRLG」は可もなく不可もない出来栄えだったが、2014年発売のルビサファリメイク「ORAS」は大幅な原作改変に加え、改悪部分も多く、当時ネットは大炎上した。
筆者は全シリーズプレイしたが、あるタイミングで一度引退しており、それがORASのときだった。ORASの改悪っぷりは古参ユーザーである筆者を引退に追い込むほど粗末な出来だった。発売から今年でちょうど10年だが、今でもORASは”ない”と思っている。
ORASが発売した2014年には妖怪ウォッチがバズり、その年でもっとも売れた3DSソフトはなんと同年7月発売の「妖怪ウォッチ2 元祖/本家」だった。任天堂のキラータイトルであるポケモンが、ぽっと出の流行りに負けてしまい、商業的にも苦戦する年になった。
これを反省したのか、2021年発売のBDSPは一転して”忠実すぎるリメイク”となり、二頭身までもそのままだった。発売から今年で3年経つが、今でも批判する声は少なくない。ただそれでも、ORASよりかは断然マシだと思っている。
HGSSという成功があるので、ポケモンユーザーはこれに匹敵するクオリティじゃないと決して納得しないだろう。しかし実際はORAS以降、失敗続きであり、もはやHGSSに迫るリメイクは作れないと思う。
レジェンズ成功がZAにつながった
2021年のポケモンデーではBDSPに加え、ダイパを原作としたレジェンズアルセウスが同時発表された。ORASの大失敗は相当こたえたのか、BDSPが失敗したときも兼ねて、新たなシリーズを展開してきた。
BDSPは売れたが、わずか2ヶ月後に発売されたレジェンズアルセウスもBDSPに迫る売り上げだった。世間の評価はBDSPを凌ぎ、大きな成功と言えるだろう。
これを受け、失敗したときのリスクが高いリメイクよりも、実際に売れて世間の評価も高いレジェンズシリーズを続けたほうがいいと判断したのかもしれない。
情勢も見た判断か
先月、セクシー田中さんの原作者がドラマの原作改変をめぐって自殺した。この問題はテレビ局が原作者との契約をきちんと守らなかったことが原因で、脚本家のSNSでの発言も問題視されているが、次第に”原作改変がそもそも悪”という流れになってきた。
今、世間は原作改変に対して敏感で、一か月経った今でも関連ニュースがあればトレンド入りするくらいには注目されている。そんな中、ORASのような改悪リメイクなんて発表されたら、それこそORASの二の舞になるだろう。
先月リリースされたパルワールドがバズると、パルワールドを引き合いにポケモンアンチがネットで暴れ始めた。最近はパルワールドの勢いも落ち着き、ポケモンアンチもおとなしくなったようだが、改変リメイクはポケモンアンチが暴れる着火剤になっていただろう。
今のポケモンは新たな挑戦を積極的にしたい
そもそも、最近のポケモンは新たな挑戦を積極的にしたいスタンスで、レジェンズアルセウスもレジェンズZAも「ポケットモンスターシリーズの新たな挑戦作」を謡っている。最新作のSVもオープンワールドを取り入れるなど、新たな挑戦にどんどん取り組んでいる。
一方、過去にすがるリメイクでは新たな挑戦は難しく、下手な挑戦は「余計なことするな」とORASの二の舞となり、公式もさぞかしやりづらかったことだろう。
レジェンズシリーズは過去作を原作としているが全くの別物であり、ストーリーなど自由に作り変えて問題ない。
SVは実質BWの新作
ポケモンのリメイクはBDSPが最後となりそうだが、BWが飛ばされたことを悲しむ声も少なくない。一応、BW要素はSVに点在しており、DLC「ゼロの秘宝」後編「藍の円盤」はイッシュ地方にあるブルーベリー学園が舞台だった。
学園内にあるテラリウムドームではBWのBGMアレンジが使われるなど、実質的なBWの新作とも言える。
それでもBWの新作を求めるのであれば、望薄だがやはりレジェンズシリーズが期待されるだろう。