レジェンズアルセウスで初登場した伝説のポケモン・ラブトロス。このポケモンはトルネロス、ボルトロス、ランドロスに続く新しいコピペロスで、四神をモチーフとしたコピペロスの最後の一体となる玄武を模している。
10年の時を経て四神がそろう!
2010年9月に発売したポケモンBWで初登場したコピペロス。2012年6月に発売されたポケモンBW2では霊獣フォルムが追加され、これは中国の神話に登場する「四神」をモチーフにしている。
トルネロスは南の朱雀、ボルトロスは東の青龍、ランドロスは西の白虎。北の玄武はなく、その登場が心待ちにされていた。あれから10年、ついに玄武モチーフのラブトロスが登場した。
玄武は、亀に蛇が巻き付いた姿をしていると伝わっている。ラブトロスも、化身フォルムはまるでマフラーみたく蛇が首に巻き付いており、霊獣フォルムは四足歩行となったため蛇は背中に移動している。
亀である玄武をモチーフとしているだけあって、防御力を上げられる「てっぺき」を覚え、霊獣フォルムになると、防御と特防が上がるのに対して素早さは下がる。
玄武は生命を司り、冥界との往き来を可能とし、不老不死や子孫繁栄の象徴とされる霊性から最も信仰された四神で、のちに「真武大帝」となったことにより最高位の戦神としての格を帯びたことなどから、四神最強とされている。
ゲーフリは霊獣フォルムを作った時点で玄武モチーフのポケモンも構想にあったはずだが、四神最強の玄武をモチーフとしたポケモンを同じ世代に出すと最強の名が泣くと思ったのではないか。
玄武は北を守護しており、日本のもっとも北にある北海道をモデルとしたシンオウ地方を舞台とするダイパ関連の作品にこそ、玄武モチーフのポケモンを出すのにふさわしいと考えたのかもしれない。
四神最強とされる玄武だが、合計種族値は580と、トルネロス及びボルトロスと同じで、ランドロスに至っては600族なため負けている。
なぜ雌でフェアリータイプ?
雄のみのトルネロス、ボルトロス、ランドロスに対し、ラブトロスは雌しか存在しない。中国の神話によると、亀は雄がおらず、身ごもるためには蛇とつがい(動物の雄と雌の一組み)にならなければならないとされている。これが雌しかいない由来になっているのではないか。
玄武は水神であり、それゆえタイプは水・飛行になると思われたが、まさかのフェアリー・飛行に。玄武の伝承を見ても、フェアリー要素はない。冥界を行き来したり、不老不死の設定を生かすなら、せいぜいゴーストタイプだろう。
ラブトロスの名前の由来はLove(ラブ)+ロス。頭の上はハートを模しており、蛇の体にはハートが入っていることから、さしずめ恋のキューピットといったところか。
ロスはLoss(失う)も意味しているとみられ、それを象徴するかのように分類は「あいぞうポケモン」となっている。「あいぞう」とは愛憎とみられ、愛が何かのきっかけで失われ、それが憎しみに変わったことを表している。
化身フォルムの図鑑説明には
海を越えて飛来したらば厳しき冬の終わりを知る。慈愛がヒスイの地に新しき命芽吹かせるとの伝承あり。
とつづられている。
玄武は四季の冬を表しており、冬が終わると春が来ることを示している。また、玄武の子孫繁栄の設定を生かしている。
一方、霊獣フォルムの図鑑説明には
命粗末にする者あれば雲海より現れ憤怒の罰を下し容赦なし。
と書かれている。
現代の日本は子供を産んでも死なせてしまう親が多く、そんな社会悪に容赦なく罰を下すという意味でも、悪タイプに強いフェアリータイプが採用されたのではないか。風水では玄武は病気や災難を防ぐ魔除けの効果があり、悪いものを寄せ付けない意味でもフェアリーなのかもしれない。
ラブといえば、自分のポケモンと性別が違うとラブラブボールを思い浮かべる。ラブラブボールの上半分はピンクとなっており、フェアリータイプのカラーと同じだ。
ラブトロスはベロバー系の妖精っぽいのもフェアリーになった理由なのかもしれない。ただ、ラブトロスは玄武モチーフなため、妖精というより精霊に近いと思われる。