「ほんとにあった怖い話 2021特別編」(以後、ほん怖2021)が、10月23日に放送された。
近年のほん怖はあまり怖くなく、ネット受けを狙ったエピソードが多かった。しかし、ほん怖2021はガチホラーとなっており、ほん怖ファンは楽しめたと思われる。
ほん怖2021、私的怖かったランキング
1位.「凶音の誘い」(主演:橋本環奈)
ほん怖2021でもっとも怖かったのは、橋本環奈主演の「凶音の誘い」。今年の4編の中では軍を抜いていたと思う。
それもそのはず。ほん怖のトラウマ回として知られる、杉本哲太主演「社内怪報」(1999年放送)、阿部寛主演「真夜中の徘徊者」(2003年放送)のリメイクだからだ。
社内怪報が元祖、真夜中の徘徊者がリメイクで、凶音の誘いは再リメイクとなっている。
凶音の誘いは、どっちかと言えば社内怪報の正当リメイクとなっており、
主人公が地下で荷車の女を見かける
↓
同じ女を見たという女子社員と仲良くなる
↓
女子社員がお守りを手放し、女に襲われ退社
↓
主人公はお守りを手にするが、夜の会社で女に追いかけられ、最後はトイレの個室に逃げ込むも襲われる
↓
事件後、主人公は職場を離れる
といった流れは共通している。
社内怪報と真夜中の徘徊者はトイレの個室に逃げ込み、女に扉ガチャガチャされるも阻止。ガチャガチャが止まり、安心しきって上を見たら女がのぞきこんでいたというラストだったが、凶音の誘いは上にはおらず、いつの間にか個室にいたという、原作を知っている人を“騙す”幕引きだった。
2位.或る学校の七不思議(主演:与田祐希)
続いて2位は、乃木坂46与田祐希主演「或る学校の七不思議」。友人たちとやったこっくりさん以降、さまざまな怪奇現象が主人公を襲い、最後は夜の学校で永遠に降りられない階段や、廊下で何者かに引きずり込まれそうになる。
霊の姿は一切なく、VR後の解説もなかったことから、その正体は謎に包まれている。おそらく、何かのリメイクではなく、完全オリジナルでありながら中々のホラー回だったと思う。
3.「事故物件A」(主演:山崎育三郎)
3位は、山崎育三郎の「事故物件A」。主人公は、事故物件と知っていて部屋に越してきたが、直後から
・上にあった目覚まし時計が勝手に落ちる
・一口も飲んでいない麦茶が減っている
・壁に顔が埋まっている
・布団の上にBBAが座っている
といった心霊現象に苛まれる。
主人公はお祓いを受けるも、クライマックスには部屋に巣くう霊が勢ぞろいし主人公を襲う。
主人公は事故物件に住み、心霊現象は13日間続いたということで、仲村トオル主演の「十二日間の悪夢」(2000年放送)、向井理主演の「悪夢の十三日」(2011年放送)をベースにしていると思われる。
4.「だるまさんが転んだ?」(主演:ゆめっち)
最下位となったのは、3時のヒロインゆめっちの実体験だという「だるまさんが転んだ?」。電気を消すたびに謎の男が迫ってきて、それはまるで「だるまさんが転んだ」のよう。あと一歩のところでゆめっちは電気をつけ、そしてつけたが男は消えていた。
安心した束の間、隣に男がいたというラストだった。
ホラーとしてはよくある話で、VTR後のゆめっちも怖がっている様子がないことから、個人的には最下位とした。
前半2編はガチホラーだったが、後半2編はホラーは控えめに感じた。しかしそれでも、近年のほん怖では怖い部類だったのではないか。
過去作のリメイクをするなら、ほん怖史上もっとも怖いとされている、佐藤健主演「顔の道」(2009年放送)をリメイクしてほしい。