千葉・鴨川市のJR外房線で先月、上り普通列車の先頭車両が脱線した事故で、レールに置き石をしたとして、往来危険の疑いで10歳の小学生男児が児童相談所に書類送検された。警察によると、男児は以前にも何度か置き石をしたとし、回を重ねるごとに石の数が増えていった。「実験で置いた」という趣旨の話をしているという。
男児は反省しているそうだが、「反省してま~す」で済んだら警察はいらない。犯人が小学生ということで逮捕されたり、懲役刑になることはないが、今後、外房線のJR東日本から民事で損害賠償を請求されると思われる。
外房線脱線事故、置き石犯人の小学生への損害賠償はどうなる?
犯人の小学生は、置き石で外房線の列車を脱線させ、当日は特急2本を含む上下17本、翌日は特急11本を含む上下34本が運休。2日間で約600人の乗客に影響が出た。怪我人こそいないものの、多くの人が電車に乗れなかったため、このまま見逃されるはずもない。
今後、JR東日本から民事で損害賠償を請求されると思われるが、誰が支払うのか。2018年10月に兵庫・明石市のJR山陽線で、線路近くに置き石をして電車を止めた小学生男児の時は、このような報道があった。
・置き石により鉄道を故意に止めた場合には、止めた時間や影響範囲に応じて損害賠償義務が発生
→近年では厳格に対応するケースも増えている・事故になれば、軽微な脱線を伴う複数の車両が「全損」の扱いになることが珍しくないので、損害額は大きくなる
→もし死傷すれば、想像できないほどの損害賠償を求められる・ただし、民事の賠償責任について責任能力が必要で、これは概ね12~13歳程度から認められる
→このような場合、監督義務者である親が賠償責任を負う
賠償額は数百万円規模になるか
■小学生の置き石による脱線事故での損害賠償額
1995年10月:大分・JR豊肥線の脱線事故で線路に置き石をしたとして、JR九州は当時小学生の親に対し、約453万円の損害賠償を請求
2003年6月:福島・JR鹿児島線の置き石事故で、JR九州は当時小学生の親に対し、モーターの破損など約79万円の損害賠償を請求
外房線に置き石をした小学生は列車を脱線させたということで、豊肥線の脱線事故同様、400万円くらいの損害賠償が請求される可能性がある。しかし、この賠償額は25年前のもので、近年では厳格に対応するケースが増えているそうで、さらに高額になるとみられる。
また、小学生は過去にも何度か置き石をしており、常習性もあった。このことも損害賠償額を高める要因になりそうだ。