声優・泉水みちるのnote「底辺声優の所感」が大きな反響を得ている。詳しい内容は後述するが、泉水みちるは声優をやめて大学教員を目指すという。しかし、「こちらも茨の道です」と現役職員がアドバイスしている。
泉水みちる「底辺声優の所感」が大反響!
・日本の若者が夢をあきらめる平均年齢は24歳で、理由の多くは「自分の才能に限界を感じたから」らしい
・これを知ったのは高校3年生の時で、声優をめざしはじめたばかりの頃だった
・「たったの24歳であきらめてしまうなんてもったいない」と当時は心の底から思い、「自分はこの平均年齢を超えるぞ!続けていればなんとかなるはずだ」と息巻いていたが、24歳の壁は高く、険しく、超えることができず、このまま何者にもなれずに終わるのか、そんな自問自答を幾度となく繰り返してきた
・2年ほど前の冬から、前に進みつつ「辞める準備」もしなくては、と思いはじめ、「辞めよう」と決心したのは今年1月
・自分が声優をやめようと思った理由は3つある
1.消耗戦
・(今現在の声優業界は)消耗戦になっており、「辞める」と決めたら、一気に気が楽になった
「もう、急なオーディションや現場のために突然バイトを休んでバイト先に頭を下げまくる必要もない。もうWikipediaでいろんな声優を調べて『この人は〇歳でデビューしたから自分もまだ大丈夫だ』という確認作業をしなくてもいい」
・現在声優は、演技以外の付加価値が多く求められるが、大抵は本人の能力に大きく頼っており、能力育成はほとんどしてもらえない
・若くて、スケジュールが押さえやすく、製作サイドが求める特技を持っていれば、むしろ演技をイチから教育しようということになり、そこに食らいつこうと、底辺声優も躍起になる消耗戦となる
「まるで大量生産の既製品を使い捨てるように、次から次へと若い能力を求めては乗り換える……これは搾取ではないだろうか。タレントだけでなく、作品の数も非常に多くなり消費サイクルが速い現代。この問題についてはもっと踏み込んで考える余地があるのではないだろうか」
・キャラ化はタレント的な「使いどころ」や「売り出し方」が理解しやすく、受け手側に覚えてもらいやすいが、その反面、タレント本人の人格や思想が抑圧されて疲弊したり、最悪精神に解離が発生することがあるのではないか
2.お金がない
・よくネットで「声優は金持ちの子どもの道楽」などと揶揄されるが、道楽かどうかはさておき実家の経済力は重要
・役者をやるにはとにかく金がかかり、それをたかだか時給千円程度のアルバイトで支払うのは大変
・大抵の声優志望は高卒なので、売れなければ一生アルバイト生活、売れてもいつ仕事がなくなるかわからない、という不安に苛まれる
・普通より多少人前で堂々とでき、多少滑舌がよくて多少声量があるだけの、叶わない夢を追ったためにもう特に若くもなく学歴も高校卒なんていう人間は、ただの「声のきれいなフリーター」になるしかない
・自分は結婚に全く興味が持てない、幸せの象徴とは思ってないのでするつもりはない
3.学歴
・結局、学歴が大事だと思い、昨年に大学に入ることを決めた
・社会人入試に絞って学校を探しはじめたが、自分が通いたい(通えそうな四大)はどこも受験資格に「25歳以上」とあり、受験するには年齢が足りなかった
・そんな中、四大は短大などを卒業した者に3年次編入を認めていたという事実を知り、短大の社会人入試では、年齢は22歳や23歳以上とするものが多く、短大に入ることにした
・短大に偏見を持っていたが、授業のおもしろさや教員の質の高さに驚きつつ、いままで消耗していたなにかをふたたび充足させるように勉強に没頭した
「すごく大人になった気分で、きっともう夢を追う時間は終わったんだな。本格的にそう思いはじめていた」
今後について
・大学教員になりたい
「これが新しい「夢」なのかは、まだわからない。これはこれでかなりの茨の道で、実力とともに運も相当必要だ」
全文はこちらより
記事の内容は長いけど要約するといろんなことに手を出しすぎて飽和した感じやな
声優業に限らず芸能や芸術とか何かしら本人の才能に依存する業種は努力でどうこうできない部分が必ずある
だから職にしようとするなら相当な覚悟がいるんやな https://t.co/Br6jtIfYC0— タイ人(日本人) (@TH_JP_) February 25, 2020
『底辺声優の所感』なる文章を読ませてもらった。要約すると声優業続けるには色々条件的に厳しく、歳とったので辞めるとのこと
まぁ芸能の世界はその手の話しがまぁ多く理解はするが、それをやめて目指すのが大学研究者というのは少し府に落ちない
声優と同じかそれ以上の脱落者のいる業界なんすよそこ— 探偵フィリップ (@DetectivePhilip) February 25, 2020
現役大学教員「おそらく声優ほどではありませんが、こちらも茨の道です」
あなたが新しい夢として選ばれた、大学教員/研究者の一人としてコメントさせていただきます。
おそらく声優ほどではありませんが、こちらも茨の道です。
今後研究者として就職されるなら以下のことを心掛けてください。
長くなりますが次のリプに続きます。
— burihiko (@burihiko_t) February 25, 2020
1)高度な外国語運用能力
研究者たる者、日本語だけでできる仕事はほぼ零です(例外:国文学・日本史系)。少なくとも英語を、日本語と同等に読み書きする力が求められます。
TOEICなら最低でも800点は取れる力が必要です。
— burihiko (@burihiko_t) February 25, 2020
2)学術領域を見極める力
学問分野にも流行り廃りがあります。
例えば哲学系はどんどんポストが減っていっています。苔の一念、で済む話ではありません。今後の大学に求められる分野に進むことをおススメします。
その上で、自分向きの求人に出会う幸運も求められます。
— burihiko (@burihiko_t) February 25, 2020
3)業績
研究者の就職でモノを言うのは何と言っても業績です。人間性とか協調性とかは採用に無関係です。
まず博士号は大前提。
ひたすらに論文やプロシーディングを書いてください。
学会発表をしてください。
査読付きの学会誌の論文数も重要です。最低でも10本はないと、と言われます。
— burihiko (@burihiko_t) February 25, 2020
4)出身大学
残念ながら、学閥もありますし、専攻の段階で博士課程後期の大学名を見られることもあります。ですので、学歴ロンダリングと言われようが何だろうが、まずは四大に編入し、そこからさらに上の大学院の博士前期課程、そしてさらに…というふうに心掛けてください。理想は旧帝大レベル。
— burihiko (@burihiko_t) February 25, 2020
以上色々書きました。私は人文系なので、進まれる分野によって色々違いはあると思いますが、これらのことを心掛けるに越したことはありません。がんばってください。
はっきり言ってこちらの道も「消耗戦」です。でも幸いなことに「夢多き若者を搾取する者」はおりません。幸多からんことを祈ります。
— burihiko (@burihiko_t) February 25, 2020
泉水みちる「皮肉にも声優時代より注目していただいてると思います」
わたしのnoteをあまり暗い話だと捉えないでくださいね。
声優に限らず夢追い人が前を向く材料にしてもらえたら、それが一番いいと思います。— みちる Michiru (@sensuimichiru) February 24, 2020
たくさんの方にnoteを読んでいただけて光栄です。
皮肉にも声優時代より注目していただいてると思います。
でも、現役のときは口が裂けてもこんなこと言えなかった。
同じようなことを考えている人は多いと思います。辞めるか踏みとどまるかで精神をすり減らしている子たちのことを思うと苦しい。— みちる Michiru (@sensuimichiru) February 24, 2020
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ネットの反応
とても興味深く読ませていただきました。
ただ、研究者・大学教員も同じです。
また、昨今の状況を鑑みると研究したいなら大学教員に的を絞らなくてもいいと思います。むしろしないほうがいい。教員の枠は果てしなく少ないです。
新しい道で、良い経験、良い出会いがありますように。一つだけ言えることは、あなたの文章はとてもきれいでした。
とてもよく、あなたの気持ちが伝わりました。
それも、あなたの才能だろうと思います。私も声優志望ですが、「声優」という職業に対するリスクを真剣に考え、諦めようかと思い悩んでいます。
今まで「声優」という職業の良い部分しか見えていなかった私に対して、この記事は私に新しい観点をもたらしてくれました。ご多分に漏れずみちるさんの事は存じ上げませんが読ませていただきました。今の声優は声以外のスキルが求められ過ぎててむしろ求められてるスキルを持ってる人を引っ張ってきて声優にする。って時代になりつつあるのかも知れませんね…
note、全文読ませて頂きました。
この決断をなさるのは相当の覚悟が
必要だったかと思います。
僕も恐らく知らない人のほうが多い
ナレーター・声優ではありますが、
似た経験を多数しておりますので
みちる様のお気持ちが痛い程伝わって
参りました。大学生活、応援しています。