【池袋事故】読売新聞が”飯塚幸三容疑者”報道 逮捕前にこの呼称はあり?

【池袋事故】読売新聞が”飯塚幸三容疑者”報道 逮捕前にこの呼称はあり?

5月18日の読売新聞が、池袋事故の飯塚幸三に「容疑者」という呼称を付けて報道している。他のマスコミは「元院長」や「元職員」(NHKのみ)という表記で、当サイトでは呼び捨てしている(逮捕され次第、容疑者呼称に切り替え)。

飯塚幸三は同日、新宿内の病院を退院。任意で事情聴取を受けたが、まだ逮捕されていない。逮捕前に”容疑者”呼称はありなのだろうか。

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犯罪の嫌疑を受けて捜査の対象になった時点で”容疑者”

一般的には被疑者は「逮捕された者」という観念があるが、法令用語としての被疑者は、逮捕・勾留による身体的拘束を受けているか否かを問わない。犯罪の嫌疑を受けて捜査の対象となっているのであれば、逮捕される前の者や逮捕されなかった者も被疑者である。

マスメディアでは逮捕または指名手配などで身柄拘束されるかまたはそれがほぼ確実な状態のときに「容疑者」と呼び、身柄拘束されていない限りは「容疑者」は用いず「さん」付けか肩書で呼称しているが、上記のとおり、法律上は身柄拘束されていなくても容疑があれば被疑者である。

Wikipediaより

つまり、犯罪の加害者になった時点で”容疑者”なので、逮捕される前に”飯塚幸三容疑者”と伝えることは全く問題ない。

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読売新聞が”飯塚幸三元院長”と報道したワケ

5月10日、読売新聞は「容疑者でなく元院長、加害者の呼び方決めた理由」というタイトルで記事を投稿。池袋事故の飯塚幸三がなぜ「容疑者」ではないのか、またなぜ「元院長」という肩書なのか、といった指摘について回答した。

要点をまとめると

・1989年12月1日、読売新聞は「呼び捨てをやめます」と宣言し、容疑者を使い始めた

⇒容疑者の使用は「逮捕された人=犯罪者」という印象を与えるのを防いで人権を尊重すること、加害者の刑事手続き上の立場をはっきりさせること、を出発点に

新聞が容疑者と呼ぶのは原則として、逮捕や指名手配、書類送検をされる等、刑事責任を問われた人の法的な立場をはっきりさせる目的がある
⇒”容疑者”と名指しするからには、容疑の内容をきちんと読者に提示する責任が生じる

・池袋事故で飯塚幸三が事故を起こしたのは事実だが、逮捕や書類送検はされておらず、事故後に飯塚は入院したため警察もきちんと説明を聞くことができなかった
⇒つまり、”容疑者”の法的立場にはまだないこと、本人の正式な弁解もなく容疑の内容をきちんと提示できるには至っていないことで、容疑者を使用しなかった

・容疑者を使わない場合、事故によっては「飯塚さん」という敬称を用いることはあり得るが、12人を死傷させた加害者に敬称を付けるのは心理的な抵抗がある
⇒呼称は報道機関が独自に判断する

5月10日配信「読売新聞」より

今回、飯塚幸三が警察で事情聴取を受けたということで、容疑の内容を提示できるに至ったと判断し、飯塚幸三容疑者と報道したのだろうか。

上記でも触れたが、法律上は身柄拘束されていなくても容疑があれば容疑者なので、逮捕される前に”飯塚幸三容疑者”と伝えるのは全く問題ない。しかし人権云々に配慮してか、逮捕・勾留されるまで”容疑者”という呼称を使うのは、ほとんどのマスコミが避けている。

かといって、飯塚幸三を”さん付け”もしたくないため、「元院長」や「元職員」という肩書で報道しているようだ。

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