学校に通わなくなった小学生YouTuberのゆたぼん(10)が提唱する「不登校は不幸じゃない」論がマスコミで紹介され、物議をかもしている問題で、ゆたぼんの不登校が学校教育法違反にあたるのではないかという声が上がった。
「不登校は不幸じゃない」と訴えるゆたぼん
学校教育法違反にあたる可能性
ゆたぼんの事例に近いものとして、このようなニュースがある。
「ネットアイドル」として芸能活動をしている中学3年の女子生徒(15)を通学させなかったとして、大阪府警黒山署は18日、学校教育法(就学させる義務)違反の疑いで、母親(44)=東京都町田市=を書類送検した。「子供の『芸能活動をしたい』という気持ちをバックアップしたかった」と容疑を認めている。同署によると、同法違反容疑での立件は大阪では初めてで、全国でも珍しいという。
送検容疑は、平成27年9月~28年2月、女子生徒が当時在籍していた大阪府大阪狭山市の市立中学の校長から6回にわたり就学させるよう督促されたのに、28年夏に転居届を出すまで無視し続けたとしている。
同署によると、女子生徒は小学生当時からインターネットの動画サイトに映像を投稿する「ネットアイドル」として活動。中学校には入学以来、数回しか登校していなかった。
女子生徒は調べに「あまり学校に行きたくなかった。芸能活動がしたかった」と話しているという。
この報道について、弁護士の見解は?
高島 惇弁護士によると
・子どもが満15歳に達するまでの間、原則として親は子どもを学校に通わせなければならない
・親が就学義務を履行せず、教育委員会などから出席の督促を受けてもなおこれに応じない場合には、10万円以下の罰金に処せられる危険がある
・一連の規定は子どもの教育を受ける義務を定めたものではなく、子ども自ら「通いたくない」といって登校を拒否している場合であっても、それが病弱、発育不完全、いじめによる精神的苦痛といった、やむを得ない事由に基づいている限り、親の就学義務の履行は猶予されると考える
・「芸能活動に専念したい」という理由は個人的な要求にとどまる場合には、やむを得ない事由とは評価されず、親も就学義務を履行しなければならないのが通常だと考える
弁護士ドットコムより
例え、子どもが不登校を希望したとしても、病気やいじめなど、やむを得ない事情を除き、親は子どもを学校に通わせる義務が発生するそうだ。
一方、NPO法人「D.Live」はこのような見解を示している。
・日本国憲法の文脈から、親に普通教育を受けさせる義務があると示されており、”学校に行かない”子どもは何ら義務教育に反していない
⇒むしろ学校に行かせず、毎日子供を働かせるような親こそが義務教育に反している・「教育を受ける権利」なので、子どもたちが放棄する分には何一つ問題ない
・学校教育法違反にあたるのは、子どもが学校へ行きたい意思があるにも関わらず、親がそれを阻止した場合
⇒本人に学校へ行く意思がない場合も「出席させないことについて保護者に正当な事由がある」とみなされる・文部科学省の就学義務督促の仕組みのホームページでもきちんと明記されているから、「不登校」は法律違反ではない
今回の場合、本当にゆたぼんの意志で不登校になっているのなら問題ないが、親が学校へ行かせてなかった場合は学校教育法違反にあたる可能性があるわけだ。
なお、ゆたぼんは学校へ全く行っていないわけではなく、行きたい時に登校しているようだ。しかし、それでは卒業できないのではないかという声もある。
公立の小中学校の場合、1日たりとも登校せずに卒業することができる。私立だとさすがに退学となるが、そうなっても公立に移されるだけなので、中退というのはあり得ない。
中村家の教育理論
ゆたぼんの父親の中村幸也さんは自身の教育理論について、ブログでこのようにつづっている。
・学校という場所だけが何かを学ぶ場所とは思っていない
・学校が好きで行っている子はいいが、世の中そういう子ばかりではない
⇒近年の不登校率の上昇や自殺する子どもの増加を考えると「学校に合わない子ども」が増えているのは間違いない・現代を生きる子どもたちの現状に目を向けず、ただ「学校に行け!」というだけでは何も変わらない
・行きたい子は学校に行けばいいし、行きたくない子は「行かないという選択」をしていいと思う
・不登校は問題行動ではない
・学校の勉強というのは、どちらかというと受動的なもので、興味があろうがなかろうが義務的に学ばされるから宿題と同じで「やらされてる感」が半端ないので、ますます勉強が嫌になる
・学校に行かなくても、子どもたちの可能性に目を向ければ、子どもたちは自ら学ぶべき事を学ぶべきタイミングで自ら学んでいくと信じている
・学校という偶々同じ年に生まれた同じ地域の子たちが集められた閉鎖的な場所での出会いで学ぶより、自らの足でいろんな人に会いに行った方が多くの事を学べるのではないか
ネットでは、ゆたぼんの生き方について批判が殺到しているが、中村さんは自身より子どもたちの方が優れていると認めた上で
「逆に子どもや若い人たちを見下し、批判している人は進化に乗り遅れていると言えるでしょう」
とズバリ。
また
「現代の子どもの考え方を批判するのではなく、応援してより良い世界にしていきませんか?」
と呼びかけた。