東京・池袋でプリウスとゴミ収集車が衝突し、男女10人が死傷した事故。プリウスを運転していた飯塚幸三(87)は証拠隠滅の恐れがないということで逮捕されず、警察は自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで任意で事情を聴いている。
【池袋】飯塚幸三の最初の事故はひき逃げ
飯塚幸三は最初の横断歩道で自転車に乗った男性をはねて逃走。そのまま加速し、二つ目の横断歩道で亡くなった松永真菜さん親子が乗った自転車をはね、左から右折してきたゴミ収集車に衝突。プリウスは回転しながら、三つ目の横断歩道で歩行者と自転車の4人をなぎ倒し、信号待ちしていたトラックにぶつかって停車した。
つまり、最初の事故に関しては人をはねて逃走したため、ひき逃げが成立すると思われる。
ひき逃げとは
・車両等の運行中に人身事故があった場合に、道路交通法第72条に定められた必要な措置を講ずることなく、事故現場から逃走する行為
①直ちに運転を停止する義務
②負傷者の救護義務
③道路上の危険防止の措置義務
④警察官に、発生日時、死傷者・物の損壊の状況や事故後の措置、積載物を報告する義務
⑤報告を受けた警察官が必要と認めて発した場合に警察官が到着するまで現場に留まる命令に従う義務・ひき逃げの検挙数は平成28年で56.8%
⇒被害者の怪我の度合い・死亡で変動(死亡事故に至っては検挙率100%)
ひき逃げは道路交通法違反にあたり、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金となる。相手が死亡した場合は10年以下の懲役又は10万円以下の罰金とさらに重くなる。
専門家「ひき逃げは必ず逮捕されるわけではない」
松本篤志弁護士によると
ひき逃げは決して軽くない事件ではありますが、必ず逮捕等されるわけでもなく、早期に出頭することで逮捕は免れ、在宅での捜査で済むことも多いです。出頭が遅くなるほど逮捕のリスクも高まります。
可能性の話の一例ですが、人身事故扱いで過失運転致傷罪、それに道路交通法違反(ひき逃げ)で立件されるとなると、初犯でも公判請求(起訴)されることを覚悟すべきでしょう。
ただ、この場合も、初犯で任意保険の契約もあれば、いきなり懲役の実刑までは行かず、執行猶予付きの判決となることが想定されます。
弁護士ドットコムより
危険運転致死傷罪も成立?
飯塚幸三は制限速度の時速50キロを大幅に超える時速100キロで走行し、2つの信号も無視していた。このことから、危険運転致死傷罪も成立するとみられる。
①アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
②進行を制御することが困難な高速度で、又は進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
③人又は車の通行を妨害する目的で、通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
④赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為とは
「進行を制御する技能を有しない」とは、ハンドルやブレーキ等の基本的な自動車操作の技能を有しないことをいいます。
飯塚幸三は、150メートルにわたってハンドルやブレーキもかけることなく暴走していて、通行人を避けた形跡もないという。危険運転致死傷罪は15年以下の懲役、相手を死亡させた場合には1年以上20年以下の有期懲役となっている。
過失運転致死傷だけでなく、ひき逃げや危険運転致死傷の疑いもある飯塚幸三。それでも逮捕されないのであれば、やはり上級国民だから許されているというのも一理ありそうだ。