東京・渋谷区の児童養護施設「若草寮」で施設長の大森信也さん(46)が男に包丁で刺され死亡した事件。大森施設長を知る人を突然の訃報に驚くとともに、悲しみを打ち明けている。
そんな大森信也施設長だが、どのような人物だったのか。経歴や人物像をまとめてみた。
大森信也施設長とは
・立教大学卒業後、児童指導員に
⇒現場で10年以上の経験を積み、数年前に若草寮の施設長に・全国児童養護問題研究会の編集部次長も務める
・東京・中野区内の自宅で妻や子供2人と暮らしていた
全国児童養護問題研究会・武藤素明会長(66)によると
・若い頃に「若草寮」の職員となり、数年前に現場の信頼を得て、施設長に抜擢
・施設の福祉向上や子供の待遇改善などについて研究成果を積極的に発表していた
⇒発表内容は専門誌にまとめられ、大森施設長は編集も担当(次長)・東京の社会福祉協議会の活動にも関わるなど、子どもたちに関する福祉がより方向に向かうよう熱心に取り組んでいた
・自分の施設以外にも関心を持ち、調査研究で協力したり、東京都への予算要求を調整するなど、各施設が置かれている現状の底上げに注力していた
・今月上旬に開かれた研修会で会った際も普段と変わらず、トラブルを抱えているようには見えなかった
・児童相談所の新設にも関わっていた
▼立教大学時代は立教応援団に所属
大森信也施設長の印象
若草寮・西澤猛理事長
「とてもいい人で、中心となって熱心に活動していた、得がたい人でした」
武藤素明会長
「とてもまっすぐで正直で、正義感が強く、子どもたちから慕われていました。まだ私自身も事件があったということを受け止められず、ことばがありません」
全国児童養護問題研究会・芦田徹事務局長(50)
「優しい視点で子どものことを第一に考えていた。温厚で、恨まれることは考えられない」
若草寮の元入寮者
「真摯(しんし)に子どもの意見を受け止めてくれる人。大人が嫌いになりそうだった時に優しい手を差し伸べてくれた。理想の父親像が大森さんだった」
大森施設長の同級生
4年前に児童養護施設についての著書を出版
児童養護施設で働いていると、この業界には良い人が多いと感じます。それも度が過ぎると、良い意味だけではなくなります。
確かに皆一生懸命に働いています。多少の不満があっても無理して我慢もします。それが子どもたちのためになると思えばなおさらです。
「子どもの未来をあきらめない 施設で育った子どもの自立支援」より抜粋